Drugs illegal resale … “Dark routes” to China Actual condition

医薬品の違法な転売が相次いでいる。医薬品を不正に処方したとして、医師や薬剤師が逮捕された。一体どこに横流ししているのか…不正転売された薬の「闇ルート」を追った。     ◇

■相次ぐ医薬品の違法転売

フードを深くかぶり、捜査員に囲まれる男。医師法違反の罪で起訴されたのは、大阪府の開業医・辰田昇被告(60)。実際には診断していない女性に対し、ウソの診断書を作成し、向精神薬などの処方箋が必要な医薬品を提供したとされている。さらに、診療報酬4万5000円をだまし取った疑いももたれている。

辰田被告は、薬を無許可で販売したなどとしてすでに逮捕・起訴されている薬剤師・苅田基生被告から、女性2人の紹介を受けたという。その苅田被告に、私たちは逮捕前に直撃していた。

薬剤師・苅田被告「(Q:処方箋薬を不正に販売していたのは事実?)全部弁護士さんにお任せしています」

女性から「医薬品がほしい」と頼まれた苅田被告は、医者の辰田被告を紹介。しかし辰田被告は女性を診ることはせず、診断書を偽造し、処方箋を出した。薬剤師の苅田被告は、女性に薬を提供した上で、女性から現金を受け取ったとみられている。

さらに苅田被告は、自らが経営していた薬局で仕入れた処方箋医薬品などを、大量にブローカー役の中国人の男に横流ししていたとして、起訴されている。処方箋医薬品は、人体に対する作用が強いとされるもので、医師が診断を行った上で処方することが法律で定められている。しかし、その処方箋医薬品が中国人に横流しされる事件が相次いでいる。

■処方箋医薬品 どのように中国へ?

先月、中国人の女性2人に、処方箋医薬品を販売したとして、東京・台東区の医薬品卸売り販売会社の社長らが書類送検された。処方箋医薬品は、一体どのように中国に流れているのだろうか。

近年、ドラッグストアでも行われる外国人観光客の「爆買い」。日本の薬は、観光客からの口コミなどで評判が広がり、中国のメディアでは、「神薬」とも呼ばれているという。その需要が、一般には販売されていない処方箋医薬品にも。

中国からの観光客「(日本の処方箋医薬品について)知ってます。中国では買う人が多いと思います」「口コミで聞いたんです。日本の処方箋の薬がすごく効き目があると。処方箋の薬はネットで売っています」

■日本の8倍の値段での取引も

処方箋の薬はネットで――実際に中国のSNSを見ると、SNS上で、(日本の)薬を売ると持ちかけている書き込みがあった。これらはすべて、医師による診断が必要な処方箋薬だ。この書き込みをした人物と、SNS上で連絡を取ってみた。

記者「インターネットを見て検索しました。薬はありますか?」

相手「はい、あります」

送られてきた写真には、日本の美容外科などで処方される薬のようなものが。

相手「(日本製ですか?)はい(いくらですか?)1箱4300元(約7万円)です」

日本の厚生労働省が定めた基準の価格は9000円程度。約8倍の価格で取引されているようだ。

■“元ブローカー”が語る「闇ルート」

取材を進めていく中で、私たちはある人物と接触することに成功した。去年まで医薬品売買のブローカーだったという男性。中国との貿易を行う中で、次第に処方箋医薬品の輸出を依頼されるようになったという。

元ブローカー「人気ありますね。主に中国人ですが、最近ほかの国でも人気はありますから。美容系(の薬)が多いんですよ。糖尿病とか、水虫なんかの薬もよく売れていますね。(Q:薬を流しているのはどういう立場の人?)いわゆる薬剤師、医師、個人的に悪さするやつもいますからね。まあ、開業医が多いんじゃないですか(Q:それはなぜ?)運転資金、裏金作り、まあ脱税とかもあるんじゃないですかね」

日本製の薬への信頼から中国で高まる需要。転売による利ザヤで、もうけようとする業者によって、中国への「闇ルート」が形成されているという。

■医薬品の「横流し」 防ぐ手だては?

医薬品の「横流し」を防ぐ手だてはないのだろうか?購入した医薬品と処方・廃棄した医薬品の個数をデータで管理し、月に1~2度、実際の在庫数と照らし合わせて違いがないか確認しているという薬局もある。しかし、薬局の経営者は――

薬局を経営 ファルメディコ・狭間研至社長「可能性としては今回も起こっているし、起こりうるんだと思います。薬剤師や薬局スタッフのモラルとか、倫理観といった部分に依存して、性善説にのっとってやっているというのが現実だと思います」

医薬品「横流し」事件の主犯格とされる薬剤師の苅田被告。逮捕前の苅田被告を直撃すると――

苅田被告「(Q:いつから販売を?)2年前の夏ぐらいだと思うんですけど、知り合いからの紹介で、最初はできないという話だったんですけど、どうしても(売ってほしい)ということで。(Q:どうしてもほしい理由は?)私の方は紹介していただいた方を信用していたので」

逮捕後、警察の調べに対しても、「人から中国人に薬品を売ることを勧められた」と容疑を認めているという苅田被告。警察は、不正転売した薬の大半を、苅田被告が中国人ブローカーに流していたとみて、「闇ルート」の実態解明を進めている。